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〒659-0091 兵庫県芦屋市東山町28-19
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「重力奏法」(ロシア奏法)によるレッスンの威力とその実証その2-1
「重力奏法」(ロシア奏法)によるレッスンの威力とその実証 その2-1
~初めて弾く曲ブルグミュラー「素直な心」と「Bach平均律第1巻第1番(ハ長調)前奏曲」への挑戦①~
前回のご報告(Tさんが生まれて初めてピアノを習い始めて5週間後の様子)より、原稿書きに追われて、いつの間にか随分日が経ってしまい、ご報告が大変遅くなりました。
今回は9月にレッスンを始めて5ヶ月後・20回目、1月末での現状報告です。
今回は説明を多く盛り込み長くなりすぎたため、2回に分割してご報告することにしました。
前回の予告通り、
初学者Tさん(40代半ばの壮年)が初めて学ぶ曲が、
「素直な心」とバッハ「平均律第1番前奏曲」の2曲です。
今や驚きの速さで吸収され、すべての音が美しい音色と、
重力奏法独特の繊細な音量調整による、高質な表現力を備えた、
速度はまだゆっくりですが、プロ並みの表現に近づくほどの上達ぶり。
それほど高度なテクニックの習得が順調に前進しつつあります。 (2019.2.2)
4週目の頃に初めて、ト音記号による五線譜を使い、5小節の短い練習曲2曲で読譜練習が始まりました。
まず、「基礎練習曲」として、第1週目のレッスン時に「美しい最初の一音」で使った、
一番安定した3指から始める、
ミレミレ|ドレミファ|ミファミファ|ソファソファ|ミ
指は3232|1234|3434|5454|3
これを音色の「響き」と、指先と手の平などで感じる、
「確かな手応え」という「感触」を確かめながら、
さらにまた、手の動きを慎重に観察しながら、これまでどおりゆっくりと進めました。
(この練習曲は5ヶ月経過後の現在も、全10指で1音づつ美しい音を奏でる練習と共に、
指の完成度を確認するため毎回行っています。)
この曲がよくできたら、引き続き一番不安定な5指ソから、
2曲目のソファソファ|ソファミレ|ドレドレ|ドレミファ|ソ。
3小節目で同じく不安定な1指の反復練習があります。
これらを右手で「指歩きピアノ奏法」のレガート奏法で練習しました。
(詳しくはDVD「田島孝一の『指歩きピアノ奏法』のすすめ」の中の画像をご覧ください。)
次にこれら2曲を左手で、右手と同じ音色と感触になっているかを、
左右交互に弾いて、確認しながらの練習。
Tさんはこれを慎重にチェックと修正をされながら、
何と、そう日を費やさずに難なくクリアー!実にお見事な仕上がりです!
しかも左手は右手と同じ指の順序ではなく、何と右手と同じ音の順序、
つまり、より弾きにくい指の順序で弾いてこられ、それを完璧にこなして来られたのには、とても驚かされました。
☆この時注意すべき最も重要な点は、決して指から動き始めないという事です。
もし指から動いて発音すると鍵盤を叩く動きになり、
手や上腕、指の重さを十分効果的に指先へ伝えられなくなり、
「重力奏法」にはならないからです。
しかもこれは、指を高く上げてから弾く癖がついた、
ハイフィンガー奏法で習われたほとんどの人が、つい指から動かしてしまうため、
すぐに「重力奏法」ができるようにならない最大の原因なのです。
だから当然ですが、これをクリアーできない限り、次の段階に進めることはできません。
(ただし重力奏法の感覚が十分身に付き次第、この制約は取り除かれ、その時は自然に指を自由に動かすことができるようになっています。)
☆さらにここで、この親指が本能的に持っている、きわめて重大な問題について触れておきます。
⓵1指の動きは、「他の4本とは全く違う動き」をする
このことを、深く認識しておく必要があります。
つまり、1指が鍵盤に向かって垂直に動く指の使い方は、親指本来の自然な動きではないという事です。
他の4本は鍵盤を弾く時、指本来の「つかむ」という本能的な方向・前後に動きます。
しかし、本来は水平方向・左右への動きをするこの1指だけは、
ピアノを弾く時だけ、日常生活では絶対に使わない、
(手首近くに隠れている)第3関節から垂直方向への不自然な動きをしなければならないのです。
そのため私は、多くの先生方が使われている大半のテキストが、
この1指のドから始めることに、とても大きな疑問を持っています。
どうして不自然な動きを求める、一番扱いにくい1指からピアノを始めるのだろうと。
恐らく音階の始めがドだからという、単純な理由ではないかと思われますが、
生徒の立場に立ってみれば、はじめから大変難しいことに挑戦させられているのです。
もしそうでないとすれば、次の項の視点から見れば、
多分、初期練習では好ましくない、①包丁の使い方をしているのではないでしょうか。
②1指で美しい1音を弾くための3つの使い方
ではこの1指はいったいどう扱えば、他の指で奏でるのと同じ美しい音色で弾けるのか。
多くの初期レッスンでは、この1指で「他の指と同じく美しい音色で弾く」という意識で、
教えられる事は少ないのではないかと思われます。
ここでは私がすでに20代の時から教えてきた、そのヒミツのレッスン法をお伝えします。
1指でピアノの1音を弾く使い方に3通りがあります。
子どもにも分かりやすいよう、それぞれ「①包丁・②薪割り・③刀」と名付けています。
1指が鍵盤に触れる部分に鋭い刃が付いていると仮定して、3つの動かし方を示したものです。
まず①「包丁」は、1指の側面の第1関節くらいまでを鍵盤上に載せて音を出す動き。
ちょうどまな板上で野菜を細かく刻む時の動きです。
②の「薪割り」は、一旦指を振り上げるが、鍵盤に当たる面は①と同じ。
③「刀」は、②と同じように振り上げるが、振り下ろす時は、刀で真っ二つに切り裂くような動きをする。
この時、刃先は指では爪の角あたりになり、
そこが鍵盤上に当たり、そこを支点として、反作用で手が持ち上げられる。
この刀の動きを覚えるために、机の端やピアノの蓋の端に2~5指を上面に載せ、
側面に垂れた1指の腹で側面を撫でるように、刀で切り裂く動きを練習します。
鍵盤上に当たった後の刀の動きを分析すると、斜め手前の方向にえぐるような動きになっています。
つまりこれを、力のベクトルで示すと、重さによる垂直のベクトルと、
手前方向に引くベクトルの合成で、斜め手前にベクトルの矢印が向かいます。
このベクトルの方向は、他の4本の指で使うベクトルとほぼ同じ斜めになっているのです。
ですから、この③刀の使い方をここで使えれば、他の指の音色と同じ「美しい音色」が出せるのです。
さらにこの③刀で爪の角を使う方法は、
音階などで手のポジション移動の時、特に右手下降時に、
この1指を乗り越えて手の重心を次へ運ぶという重要な役割があります。
この時の1指の役割は、棒高跳びの棒と同じ役割です。
さらにまた、フレーズ終わりで手が次のポジションへ、
遠くへも素早く移動できるようにするためにも、
その待機時には、手を高く支えて準備しておかなければなりません。
これら後々の練習に備えて、1指の角で手を立ちあがらせる、③刀での練習が必要なのです。
私はこの時、1指でできるだけ高く立ち上がるようにし、
残りの4本も高く水平に保って、1指と2指との指の間(水かき)を、
横から見た時に「ライオンが吠えた時の口」のように、大きく広がっているかをよく確かめさせます。
(2019.2.2 ピアノレッスンクリニック芦屋 田島孝一)
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ピアノレッスンクリニック芦屋
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「重力奏法」(ロシア奏法)によるレッスンの威力とその実証 その2-1
~初めて弾く曲ブルグミュラー「素直な心」と「Bach平均律第1巻第1番(ハ長調)前奏曲」への挑戦①~
前回のご報告(Tさんが生まれて初めてピアノを習い始めて5週間後の様子)より、原稿書きに追われて、いつの間にか随分日が経ってしまい、ご報告が大変遅くなりました。
今回は9月にレッスンを始めて5ヶ月後・20回目、1月末での現状報告です。
今回は説明を多く盛り込み長くなりすぎたため、2回に分割してご報告することにしました。
前回の予告通り、
初学者Tさん(40代半ばの壮年)が初めて学ぶ曲が、
「素直な心」とバッハ「平均律第1番前奏曲」の2曲です。
今や驚きの速さで吸収され、すべての音が美しい音色と、
重力奏法独特の繊細な音量調整による、高質な表現力を備えた、
速度はまだゆっくりですが、プロ並みの表現に近づくほどの上達ぶり。
それほど高度なテクニックの習得が順調に前進しつつあります。 (2019.2.2)
4週目の頃に初めて、ト音記号による五線譜を使い、5小節の短い練習曲2曲で読譜練習が始まりました。
まず、「基礎練習曲」として、第1週目のレッスン時に「美しい最初の一音」で使った、
一番安定した3指から始める、
ミレミレ|ドレミファ|ミファミファ|ソファソファ|ミ
指は3232|1234|3434|5454|3
これを音色の「響き」と、指先と手の平などで感じる、
「確かな手応え」という「感触」を確かめながら、
さらにまた、手の動きを慎重に観察しながら、これまでどおりゆっくりと進めました。
(この練習曲は5ヶ月経過後の現在も、全10指で1音づつ美しい音を奏でる練習と共に、
指の完成度を確認するため毎回行っています。)
この曲がよくできたら、引き続き一番不安定な5指ソから、
2曲目のソファソファ|ソファミレ|ドレドレ|ドレミファ|ソ。
3小節目で同じく不安定な1指の反復練習があります。
これらを右手で「指歩きピアノ奏法」のレガート奏法で練習しました。
(詳しくはDVD「田島孝一の『指歩きピアノ奏法』のすすめ」の中の画像をご覧ください。)
次にこれら2曲を左手で、右手と同じ音色と感触になっているかを、
左右交互に弾いて、確認しながらの練習。
Tさんはこれを慎重にチェックと修正をされながら、
何と、そう日を費やさずに難なくクリアー!実にお見事な仕上がりです!
しかも左手は右手と同じ指の順序ではなく、何と右手と同じ音の順序、
つまり、より弾きにくい指の順序で弾いてこられ、それを完璧にこなして来られたのには、とても驚かされました。
☆この時注意すべき最も重要な点は、決して指から動き始めないという事です。
もし指から動いて発音すると鍵盤を叩く動きになり、
手や上腕、指の重さを十分効果的に指先へ伝えられなくなり、
「重力奏法」にはならないからです。
しかもこれは、指を高く上げてから弾く癖がついた、
ハイフィンガー奏法で習われたほとんどの人が、つい指から動かしてしまうため、
すぐに「重力奏法」ができるようにならない最大の原因なのです。
だから当然ですが、これをクリアーできない限り、次の段階に進めることはできません。
(ただし重力奏法の感覚が十分身に付き次第、この制約は取り除かれ、その時は自然に指を自由に動かすことができるようになっています。)
☆さらにここで、この親指が本能的に持っている、きわめて重大な問題について触れておきます。
⓵1指の動きは、「他の4本とは全く違う動き」をする
このことを、深く認識しておく必要があります。
つまり、1指が鍵盤に向かって垂直に動く指の使い方は、親指本来の自然な動きではないという事です。
他の4本は鍵盤を弾く時、指本来の「つかむ」という本能的な方向・前後に動きます。
しかし、本来は水平方向・左右への動きをするこの1指だけは、
ピアノを弾く時だけ、日常生活では絶対に使わない、
(手首近くに隠れている)第3関節から垂直方向への不自然な動きをしなければならないのです。
そのため私は、多くの先生方が使われている大半のテキストが、
この1指のドから始めることに、とても大きな疑問を持っています。
どうして不自然な動きを求める、一番扱いにくい1指からピアノを始めるのだろうと。
恐らく音階の始めがドだからという、単純な理由ではないかと思われますが、
生徒の立場に立ってみれば、はじめから大変難しいことに挑戦させられているのです。
もしそうでないとすれば、次の項の視点から見れば、
多分、初期練習では好ましくない、①包丁の使い方をしているのではないでしょうか。
②1指で美しい1音を弾くための3つの使い方
ではこの1指はいったいどう扱えば、他の指で奏でるのと同じ美しい音色で弾けるのか。
多くの初期レッスンでは、この1指で「他の指と同じく美しい音色で弾く」という意識で、
教えられる事は少ないのではないかと思われます。
ここでは私がすでに20代の時から教えてきた、そのヒミツのレッスン法をお伝えします。
1指でピアノの1音を弾く使い方に3通りがあります。
子どもにも分かりやすいよう、それぞれ「①包丁・②薪割り・③刀」と名付けています。
1指が鍵盤に触れる部分に鋭い刃が付いていると仮定して、3つの動かし方を示したものです。
まず①「包丁」は、1指の側面の第1関節くらいまでを鍵盤上に載せて音を出す動き。
ちょうどまな板上で野菜を細かく刻む時の動きです。
②の「薪割り」は、一旦指を振り上げるが、鍵盤に当たる面は①と同じ。
③「刀」は、②と同じように振り上げるが、振り下ろす時は、刀で真っ二つに切り裂くような動きをする。
この時、刃先は指では爪の角あたりになり、
そこが鍵盤上に当たり、そこを支点として、反作用で手が持ち上げられる。
この刀の動きを覚えるために、机の端やピアノの蓋の端に2~5指を上面に載せ、
側面に垂れた1指の腹で側面を撫でるように、刀で切り裂く動きを練習します。
鍵盤上に当たった後の刀の動きを分析すると、斜め手前の方向にえぐるような動きになっています。
つまりこれを、力のベクトルで示すと、重さによる垂直のベクトルと、
手前方向に引くベクトルの合成で、斜め手前にベクトルの矢印が向かいます。
このベクトルの方向は、他の4本の指で使うベクトルとほぼ同じ斜めになっているのです。
ですから、この③刀の使い方をここで使えれば、他の指の音色と同じ「美しい音色」が出せるのです。
さらにこの③刀で爪の角を使う方法は、
音階などで手のポジション移動の時、特に右手下降時に、
この1指を乗り越えて手の重心を次へ運ぶという重要な役割があります。
この時の1指の役割は、棒高跳びの棒と同じ役割です。
さらにまた、フレーズ終わりで手が次のポジションへ、
遠くへも素早く移動できるようにするためにも、
その待機時には、手を高く支えて準備しておかなければなりません。
これら後々の練習に備えて、1指の角で手を立ちあがらせる、③刀での練習が必要なのです。
私はこの時、1指でできるだけ高く立ち上がるようにし、
残りの4本も高く水平に保って、1指と2指との指の間(水かき)を、
横から見た時に「ライオンが吠えた時の口」のように、大きく広がっているかをよく確かめさせます。
(2019.2.2 ピアノレッスンクリニック芦屋 田島孝一)
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