その4 初学者Tさんの曲への挑戦② バッハ平均律第1番前奏曲

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その4 初学者Tさんの曲への挑戦② バッハ平均律第1番前奏曲

重力奏法(ロシア奏法)によるレッスン法

2019/02/16 その4 初学者Tさんの曲への挑戦② バッハ平均律第1番前奏曲

初学者Tさんが1曲目「素直な心」が半分弾けてきた時に、この2曲目に取り掛かりました。

この曲の右手はすべて分散和音の16分音符で書かれていて、何やら難しい曲のように見えますが、各小節で使われる音を集約すれば、最後の2小節以外、各小節はすべて全音符の和音形で標記することができます。そのためそれらを和音の形で間違いなく鍵盤を押さえられさえすれば、あとはその和音をずらして弾くだけで簡単に弾けてしまうのです。

(ただし、この曲を美しく弾くためには、全10指で「重力奏法」ができることが前提です。でないと音の粒が揃わず、鳴り損ないの音も生まれてしまいます。

しかし何よりも、この美しい曲が汚い音の羅列になってしまうと、ただ弾いただけになり、全くつまらない曲になってしまいます。)

 

そのためまず和音を押さえる予備練習から始めました。

この「和音で押さえる」時にも、重要な学習機会があります。複数の指で同時に、また均等に重さをかけて鍵盤を押さえる奏法を使うため、和音を重力奏法で学ぶいい教材になるのです。

 

 

おもな選曲理由と学習目的は次の7つ。

1.曲が美しい

2.和音形の手の形で簡単に弾ける

3.和音で美しい音色を奏でる練習

4.和音奏の各指に均等に重さをかける

5.手を拡げて和音形の指の定型を覚える

(これは後々まで基本テクニックとして活用できるため、私が特別重視している練習法)

  • 6.和音奏の楽譜を見ながら、どの音が次の和音に残って指を変えずに弾けばいいかなどを、判断しながら弾く練習
  • 7.速く弾く練習(手首のローリング・速い重心移動を覚える)

 

まず三和音ドミソの基本形・第1転回形・第2転回形を決められた指使いで押さえる練習をします。2つの転回形の手の幅は共に6度音程なので、ド~ソの5度を一音広げて、中の音は2指か3指かを覚えればいいだけです。

 

次にそれをレガートでつなぐ練習。これがプロ・ピアニストが手を安定させるため頻繁に使っている、初心者にも後々まで大変役立つ、とても大事な練習法なのです。手のポジション移動を安定させるために、これはどうしても外せません。お金をもらって演奏するプロに、ミスは許されません。そのため、極力ミスを出さない方法で練習します。私は彼らの手を観察していて、それを使っている事に気がつきましたが、多くのピアノの先生方は、恐らくこの練習法を生徒に教えておられないのではないかと思います。しかしこれをするかしないかで、手の安定度と共に、練習のしやすさが大きく変わってくるのです。そうすると、どんどん楽に弾けるところが増えていって、練習するのが楽しくなり、自然に上達が速くなるのです。これは和音だけでなく、ポジション移動する都度、可能な限りこれを使うべきなのです。

私はこの曲で、この事も学べるよう、それはそのまま、この曲を弾き易くする事につながるため、2つの和音に共通する音に点線で結んでやり、その音は変えなくていいい事が分かるよう準備してあげました。この学習は、ピアノ学習の早期からしておくべきだと考えています。

この練習法で気がついたのですが、最初期にレガート奏法を学ぶ理由の一つに、ここに書いたような「手の安定をはかる」という目的があるのかもしれません

 

Tさんに和音で練習して頂くため、この曲の各小節の和音をすべて全音符で書いた、練習用の楽譜をお渡ししたところ、2週間で半分、何と4週間で曲の最後まで練習してこられたので、とても驚かされました。それも3週目からは和音奏だけでなく、何と原曲どおり、16分音符で弾いてこられたのです。(しかしそれは、見ただけで難しそうに見えるあの16分音符だらけの楽譜を、まさか自分が弾いているとは恐らく思っておられないでしょう。)しかもテンポもやや速めで。曲が美しいのでとても気に入られたとのことでした。やはり学習教材は、美しい名曲ほど練習意欲を掻き立てるのでしょう。選曲の大切さを改めて実感させられました。

 

昨年9月に、生まれて初めてピアノを習い始められてから、1月末までわずか5か月。「素直な心」と共に、この2曲を弾き通せるようになるまで、うまく進めば、あと2か月ほどで修得がほぼ実現できそうです。

 

楽譜も全く読めなかった、ピアノ初学者で50歳台の壮年。それが今やブルグミュラーだけでなく、16分音符だらけの バッハの平均率1番前奏曲を弾きこなしておられる。こんなことは通常では到底予想すらできないことではないでしょうか。「重力奏法」と「指歩きピアノ奏法」の2つによる総合的な練習法と、楽譜の読み方のコツなど、さまざまに工夫した、緻密な私の指導が実を結んだ結果ではないかと、自負しております。

 

大変嬉しいことに、この年末、Tさんのお家に念願のピアノが届きました。それも何と、防音室とグランドピアノ!タッチの微妙な差と、音色の微妙な違いを聞き取り易い、実に理想的な練習道具を手に入れられました。

これまでは、楽器店の貸しピアノでされ、また机の上での手ごたえを頼りに練習してこられた、まことに理想的なありがたい生徒のTさん!実に教えがいのある方ですし、何とも嬉しい限りで、心から感謝の念が湧いてきます。この先、曲が仕上がって、Tさんに余裕が出てくれば、できればペダル操作をもできるようにしてあげたいと願っています。

 

 

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