ショパンメトードをベースにした「プロフェッショナルコース第1期」のレッスン内容紹介①

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ショパンメトードをベースにした「プロフェッショナルコース第1期」のレッスン内容紹介①

プロフェッショナルコース

2020/12/09 ショパンメトードをベースにした「プロフェッショナルコース第1期」のレッスン内容紹介①


はじめに

 

本年(2020)6月に始まった7ケ月間の「プロフェッショナルコース第1期」は、

予定のカリキュラム通りこの12月をもってすべてをお伝えして終了することができました。

 

そこでこれまでのレッスン内容を振り返る事にしましたが、

それは同時に、

このコースがどんなものであったのかだけでなく、まったく予想外の事でしたが、幸いにもショパン自身が書いたピアノ教本のエッセンスと、レッスン内容の一部まで、ここでお伝えできることになりました。
そのわけとそこに至った経緯は、あとでお伝えすることに致します。
本題に入る前にまず、このプロフェッショナルコースの概要についてお伝えしておきたいと思います。

 

コース開設の目的

まず、このプロフェッショナルコース開設した主な目的を挙げておきますと、次の4点になります 

 

① 現在の日本でロシアピアニズム」ロシア奏法)とも呼ばれている「重力奏法」を、その基礎から正しく学んでいただくことにより、

ご自身の演奏表現力を高めて、海外の有名プロピアニストに迫ることができる、実力のある演奏家になっていただく事


② 大変楽に弾けるこの「重力奏法」の練習法を、合理的に説明できる知識と共に、レッスンを通じて生徒の皆さんへ伝えまた広めて頂く事
 

 その実現のために、その時々の基本的な手の動きを、運動力学的な普遍的原理として学んでいただきます。

(ショパンもピアノ演奏を含め、芸術を科学として考えていたと、当時の画家ドラクロアの証言があります。)


それらの普遍的原理に基づいた知的な判断によって
練習困難な箇所を、「正しい手の使い方」として、また「効率良く弾ける方法を見いだす方法」として、将来的に応用力へとつなげられるよう身につけていただきます。

 それらを正しく生徒さんにお伝え頂くと共に、合理的で楽に上達できる練習方法により、「正しい学習者」を数多く増やしていただける名教師になっていただく事

③ 現在広く一般的に使われている不合理で練習効率が低い練習法による辛い練習の日々から、練習の目的やその合理的な方法を知識として理解しながら練習でき、それにより
その目的達成度を自分で確かめながら「正しい学習法」で成長して行け、また主体的になれる、はるかに楽しい練習の日々へと変えていただく事


④約50年間の指導と研究により、私が蓄積したエッセンスとしての理論とその実践法を、できるだけ多くの方にお譲りする事。

 そのため通常の個人レッスンの中では学べない、「重力奏法」の学び方と、「ショパンの教本」の内容およびその練習法を、その合理的な観点から解説を加え、それを知識としてお伝えします。そしてこれらを「講義とレッスンによる集中講座」の形でお伝えします。

 

以上のように、この「プロフェッショナルコース」は、「ピアニストとピアノ指導者を育成する」ための、

他ではまず出会えない集中講座なのです。

そして受講していただいたこのレッスン内容は、講義もレッスンも毎回すべて録画され、その都度受講者だけに送られた映像により、いつでも繰り返し復習することができます

 



なお、このコース
始まって間もない1か月後に、ちょうどタイミングよく新刊出版された 

『弟子から見たショパン~そのピアノ教育法と演奏美学~』の本は、 

このコースで当初から予定していたカリキュラムと、不思議なことに、ほとんど同じと言っていいほどの大変よく似た内容が、しかも同じ順序で登場し、私の考え方や練習方法と共通した内容がたくさん書かれていました。そのため当コースで学ぶ内容の正しさを裏付ける」、最適の参考書として、コース開始後ひと月半後から使用してきました 

 

 

上の4つの目的を、さらに詳しくご紹介すれば、次の6項目になります。

 

 「重力奏法」をその基礎から身につけていただくこと。

その学習のために私が工夫してきた様々な奏法を、運動力学の視点による合理的な理論と共に知識として学んで頂くことで、

レッスンやご自身の練習に活用していただくこと

このような最も大切な土台となる基礎レッスンを、その理論という知識と共に教わることは、実際のところほとんどありません。)
*最近ようやく日本でその名前だけ知られてきた「ロシアピアニズム」や「ロシア奏法」は、現在世界中の著名なピアニストが使っている「重力奏法」と基本は同じですが、それがロシアで教育法として独自に深められ、様々な流派に発展したもののことです。

(この2つの「ロシア」が、どういう関係なのかわからない人が大勢います。また「重力奏法」を、その実体を知らずに批判している人までありますが、そうすると、それら世界的な大ピアニストの奏法を否定することになってしまいます。)

 

 ピアノを弾くための身体を作る(主に手指や腕)

より具体的には、手や腕(さらに上半身)の重みを支える方法を知り、その能力を高めることです。

その結果として次の事が可能になります。

  •  ・無駄な力や不合理な手指の使い方から解放される
  •  ・その結果として「美しい音色」で弾けるようになる
  •  ・手指(腕)の動きが必然的に美しくなる(合理的な動きは美しい)
  •  ・弾き易くなったことにより、無理なく速く弾くことができるようになる
  •  ・これらの結果として、音楽表現力を高めることができるようになる

 

3.上記1と2をマスターすることで、聴衆の心に感動を呼び起こせるような演奏ができる道を歩んでいただくこと。
 
4.日本では今でも多くの人が教わっている古い「ハイフィンガー奏法」だと、以上の事はほぼ実現不可能です。この「重力奏法」をできるだけ多くの方々にお伝えし、さらにレッスンされる生徒さんにもその方法を伝えていただくこと。

 

5.それにより、不合理な長時間の練習法で苦しむ大勢の学習者の不合理な労苦をなくし、挫折者を減らすこと。

 

6.日本人演奏家が陥りやすい演奏の欠陥について、その特徴を知識と共に聴覚で判別する方法を学び、

  海外の名ピアニストたちの演奏に近づく重要な手段として理解していただくこと。

(これは次の段階の演奏家コースで学ぶ内容ですが、少しでも触れておければと思っています。)

 


 

ショパン自身が書いたピアノ教本との出会い

  

『弟子から見たショパン~そのピアノ教育法と演奏美学~』(音楽之友社)

この本は、散逸していたショパンの自筆による、未完のピアノ教本の内容と、弟子たちや関連者の証言を、最大限に収集して一冊にまとめた訳本です。ざっと目を通しただけでも、非常に注目すべき重要な内容が書かれているとわかりました。

 

何よりも、私がこれまでレッスンでお教えしてきた事と共通した考えや説明内容が、いくつも書かれていたのです。

 

特にノクターンop9-2の左手に対するショパンのレッスン法(同書p113)は、

私がこの本を読むわずか数日前にお教えしたばかりのレッスン法と、まったく同じレッスン法が書かれていたのです。

これには本当に驚きました!!(詳しいそのレッスン内容は、以下に書いておきました。)

 

私がレッスンをした曲はショパンの「子守歌」でしたが、拍子が6/8拍子でノクターンの12/8と同じ複合拍子。

その「子守歌」の時のレッスンは、ブログ「オンラインによるプロフェッショナルコース第1課程を終えて・その2 個人レッスン」に既に書いております。

 

しかしもうお一人の方が12/8拍子のこのノクターンを自由曲に選曲されていたので、今回の左手へのレッスン法は、子守歌」の時と全く同じ考えで行った内容を、いかに音楽的配慮によって私が行っていたのかを、ここでは少し横道に逸れてしまいますが、より詳細にお知らせしておきます。

それを見て頂ければ、私が言っている「ショパンと共通点がある」という話が、けっして嘘ではないと皆様にお分かり頂けるかと思います。

 

書かれていたショパンのレッスン法は、

「まず最初に、低音部のみを両手に分けて練習し」です。

ほとんどの先生方のレッスンでは、まずこんなことはされないのではないでしょうか。
では私がなぜショパンと同じ方法でレッスンできたのか。

その独自の目的と理由をここで明らかにしておきましょう。

 

◎一番大きな理由は、受講生の左手に、バスパートとしての旋律的な動きも響きも全くなかった事です。

 

生徒が弾くある曲の中で、本人がその音を聴きながら弾いているかそうでないかは、私は聴けばすぐにわかります。「変だ」と感じるのです。主旋律だけでなく副旋律のメロディーを弾いた時、さらに伴奏和音を弾いた時でもそれは全く同じなのです。
なぜなら、その旋律に意識が入っていれば、必ずこちらに伝わってくるものがありますが、そうでない場合、「存在感があるもの」としては、何も伝わってこないのです。バレエなどの舞台上に立つ人は、主役以外の人でも全員が、「主役を引き立てる役割」を果たそうとして、それに必要な存在感を演じているのです。ですから伴奏和音といえども、そこに意識がないと邪魔な存在になって聞こえてしまうのです。

 

この方の場合も、やはりそうでした。

バスの1音を弾いた直後、急いで1オクターブ以上離れた体の前まで手を運んでくる必要があり、次に続くその中音域での2つの和音奏はもちろん、バスラインまでもが、無表情で大変雑な弾き方になっていました。つまり左手が右往左往することで音楽不在の状態で、単に音が羅列しているだけの状態でした。これでは放ってはおけません。

 

さらに、ほとんどの人は、その2つの和音奏にスラーがかかっている事さえ見ていないのです。音符を見て「間違えないで弾ければ(先生に叱られない)譜読みができた」で終わっているのでしょうか。そこには全く「音楽」がありません。
そして左手の低・中音域の頻繁な往復に意識が囚われてしまい、何(音楽)を大切にすべきかがまったく見えない状態だったのです。

(私のレッスンでは、最初から「音楽を語る」演奏を求めます。なぜなら、その方がはるかに弾き易くなるからなのです。楽譜には合理的な「読み方」があるため、弾き間違う可能性はグンと減るのですから。

ですから、「まず間違えずに弾き、音楽はあと」ではないのです。きっとそんなレッスン法が、世の中には溢れているのではないでしょうか。これもぜひ皆さんで変革して頂きたいものの一つです。)


そのため私は、2~3拍目の2つの和音奏を、楽譜どおり丁寧にスラーを付ける奏法をお教えし、右手でそれを弾く練習をさせました。

こうすれば、独立したバスパートとして♭ミー♭ミレドの旋律ラインが現れ、そしてオーケストラであれば弦楽器群か木管楽器群で演奏される、中音域の和音伴奏部とが明確に区分され、本来の美しい左手の伴奏が現れるからです。
ショパンは「ギター合奏で響かせる」と書いています。なぜギターを選んだのかはわかりません(もしかするとアルペジオ奏法?)が、その響きを大事にするという「ねらい」は、きっと同じだったのではないでしょうか。

(私はオーケストラ曲の作・編曲もしてきましたので、すぐに楽器配分をする事ができます。

そして2音のスラーを、弦楽器の1ボーイングで弾いているイメージと共に、受講生にお伝えしました。)

 


そうやって左手パートの美しさを両手で確認させた上で、それを左手だけで1小節(この曲が3拍子だと誤解されている方なら4小節分)弾かせました
。さらにバスの4音の進行に4拍子の拍子感も加え、これで大切な左手は整いました。

私の恩師から、「左手だけで曲にしなさい。」とご指導いただいたのは、このような事を言うのです。

 

 

右手メロディーを、「最高のテノール歌手が歌うかのように右手のパートを導き入れる」とショパンも言っているとおり、美しく歌わせるために絶対必要な美しいバックオーケストラサウンドによる伴奏。曲全体を終始支配し、右手メロディーと同じくらい大切にしたいその左手の伴奏形を、目的にかなった正しい練習法で完成させられる道が、これでめでたく開けたのです。

いかがでしょうか。先ほど私は、最初から「音楽的に弾く」ほうがはるかに弾き易くなると書きましたが、この例でおわかりいただけましたでしょうか。要するに、「存在感」が不要なパートなどないという事なのです。存在感があるからこそ、弾く人の意識がそこに働き、それを大切に弾くことで、返って練習しやすくなり弾き間違いもしなくなるのです。これは至って簡単な原理だと思うのですが。


12/8拍子について

多くの方々は、12/8拍子がどういう性格の拍子なのかご存じないようです。少し長くなりますが、大事な事なので、ここで確認しておきましょう。

♪×3拍を3拍子として扱い、1小節の間にはもちろん小節線がないにもかかわらず、楽譜の1小節を4つに分けて弾く方々が、驚いたことにある有名な男性プロピアニストを含め、日本では圧倒的に多いようです。

それは全く間違った演奏で、ショパンの曲ではなくなってしまいます。「4拍子系の複合拍子」として弾くべきなのです。

よく知られている複合拍子の6/8拍子は、123・223と数えますので、それが423まであります。だから4拍子なのです。

ショパンはこの拍子で、最高傑作と言われている「舟歌」を作曲していますが、波間に揺れるイメージを持っているのがこの拍子の大きな特徴です。ですから1小節を4拍子として感じていなければなりません。つまり4拍子の基本は、強弱・中強弱で1小節なので、大波小波のイメージです(だから「舟歌」になります)。
その拍子感で、1~2~3~4と数えながら一度メロディーを歌ってみましょう。きっと本来のこの曲の生きた感覚がお分かりになれることでしょう。ただし、長い1小節にはフレーズマークがあり、それを一息で歌える速さで歌いその速さで弾くべきだと、デームス先生も言われていました。(3拍子では遅くなりすぎて、息が続きません。


ここにご紹介した私のレッスン法の基盤にある大事な一点は、

「作曲家が楽譜に正確に書いた本来の音楽を、生きた音楽として生徒の手に蘇らせる事。」

 

これは、いまでもステージ上で演奏(レクチャーコンサート)される、私が敬愛する最高齢現役ピアニスト。今年(2021)4月に百歳を迎えられる室井摩耶子先生と、レベルは先生に及びませんが、基本的に同じ考え方ですが、
この一点が、この曲に対する私とショパンの共通した願望だったからこそ、同じレッスン法になったのだと思います。


このように、ショパンと私の指導法には多くの共通点があったため、この本の内容の多くを、私は瞬時に理解できたのでしょう。

 

「本物の音楽を深く求め続けて行けば、洗練された一つの事に行き着く」
という結果ではないでしょうか。

(室井摩耶子先生は、そのお歳にもかかわらず、今でも楽譜上にそのような新たな発見を求め続けられ、作曲家の想いに近づける喜びと共に、曲の演奏法を日々楽しみながらご研究を続けておられます。)

 

まったく思いがけない事に、当コースで計画し作成していた私の指導順序とその内容(第3回で公表します)が、

いかに確かなものであるかを、同書により裏付けられました。そのため、

私のレッスンの裏付けにもなる、最適の参考図書だと即断し採用。お二人の受講生も、快く購入して下さいました。

 

実際に使い始めてからすぐに、本文だけでなく膨大な分量の注釈の中からも、

予定のカリキュラムの中で引用して説明するための、驚くほど沢山の記述が見つかったのです。

そのため、同書に書かれていることをより細かく、分かりやすく解説しながらお伝えする事ができました。

 

このような経緯により、7回シリーズのブログの前半3回(第2~4回)は、
本書をテキスト選んだ理由と「プロフェッショナルコース」で使用した学習曲の紹介、

後半3回は、
「ショパンのレッスン法と共通した私のレッスン法」として、お伝えすることにしました。

 

ショパンの音楽の捉え方とそのレッスン法の有用性を、掲載された同書のページ番号を明記しながら解説し、

同時に私が行なったレッスン法との共通性と共に、この「プロフェッショナルコース」のレッスン内容をご紹介していきます。

 

そのため、これより6回にわたる全7回シリーズとなり、大変長くなってしまいますが、

このブログのシリーズ全体を最後までお読みいただければ、

あまり知られていないショパンのレッスン法が、いかに素晴らしいものであったかがお分かりいただけるはずです

 

 


このような指導法や演奏法にご興味のあるピアノ指導者・ピアニストの方は、まずは無料体験会へ。

もし、行き詰まりを感じていたり、このままで良いのかと思っておられるようでしたら、この体験会できっとその解決の糸口を見いだせることでしょう。

 

 

ピアノレッスンクリニック芦屋のレッスンでは、運動の原理に沿った理論と共に、合理的で基本的な本来の自然な手指の使い方を、土台から学んでいただきます

それを身につければ、ショパンが常に言う「楽に弾ける」状態がそこに生まれるのです

 

 

だからこそ、弾きにくかったあなたの手の動きは、さっきまでとは打って変わって、

うそのように弾きやすい合理的な美しい動きへと、ごく短時間で変身させる事ができまた、

魔法のように瞬時に美しい音色へと変える事ができます

 

それはこれまで、最近の体験レッスンを含め、私のレッスンを受けられた数えきれない方々が、きっとそれを証言されるでしょう。

 

何事にも「できる」ためには、必ず「やり方」があります。やみくもに練習しても、時間と労力の無駄遣い。それだけではなく、邪魔になる不要な力が入り、余計にできなくするか、不合理で無理な手指の使い方ばかり身についてしまいます。

 

手指の使い方や動きの診断と治療を行うピアノレッスンクリニック芦屋は、まさにクリニックを目的とした、あなたのためのレッスン室なのです。

 

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