歌詞をつけて、語るような生きた演奏へ  <第1回> 「音楽とはひとつの言語なのだ」 『弟子から見たショパン』より  / 音符がことばに変われば演奏に生命が吹き込まれる

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歌詞をつけて、語るような生きた演奏へ  <第1回> 「音楽とはひとつの言語なのだ」 『弟子から見たショパン』より  / 音符がことばに変われば演奏に生命が吹き込まれる

曲に歌詞をつけて歌えば、語るような生きた演奏へと即座に変身!! 

2022/08/13 歌詞をつけて、語るような生きた演奏へ  <第1回> 「音楽とはひとつの言語なのだ」 『弟子から見たショパン』より  / 音符がことばに変われば演奏に生命が吹き込まれる

はじめに

 「曲に歌詞をつけて歌えば、語るような生きた演奏へと即座に変身!!

このタイトルで始めた今回からのシリーズですが、書き進めるうちに、

どうしても皆さんにお伝えしておきたいことが次々と思い浮かんできたため、

予定よりも大幅に分量が増えてしまいました。

(本稿の最後に全11回の内容を書いています。) 

 

このシリーズを皆さんのために書く目的は、

ショパンが言う「音楽は言語だ」ということを、常に実感しながら、

「お話を語るようにピアノ演奏ができる」ようになっていただくことです。

そしてそれが、「ロシアピアニズム(ロシア奏法)」の2大特徴。 

「美しい音色」と共に重要な、「歌うような演奏」につながる弾き方なのです。 

そのため、音楽的な演奏が実に楽にできるという、

大変重要な方法を、これからどんどん明らかにしていきますので、どうぞお楽しみに。

 


 

生徒がうまく弾けない時に、私は次のような2つのアドバイスをします。

そのメロディーが伝えようとしている情景が目に浮かぶようなお話をする。
そのフレーズのリズムやメロディーに適した「ことば」を、歌詞として即興で加える

 

そうすると、まるで木の人形ピノキオに、魂が入った時のように、

とつぜん生き生きとした音楽に変わるのです!!

 

なぜこのような突然変異が起きるのか。少し考えてみました。

たとえば、意味のわからないまま英語の文を、声に出して読んでいたのが、

その意味がわかった途端、とつぜん読み方に気持ちが反映され、命が吹き込まれる!!

私はそれと同じではないかと思っています。

だから私は楽譜を通訳してお話をしてあげ、歌詞を書いてあげるのです。

 

もう50年以上もの昔、私の学生時代にあった事ですが、

ブルグミュラーの9番「狩り」を、子どもの生徒に、音楽の情景を話してあげた直後、

とつぜんその生徒の演奏が命を与えられてように、生き生きした演奏に変わり、

何よりも、楽しそうに弾くように変わったのです。

その時私が音楽から感じたものを、そのまま生徒に伝えただけなのですが。

そのためそれ以来、特に生徒がうまく弾けない箇所で、

私がしばしば使ってきた方法です。

(約30年前、これと全く同じ指導法で、故イエルク・デームス先生もレッスンされていました。)

 

また5連符7連符には、「古池や」など俳句のことばを使います。

有名なタレントや俳優たちの名前を使うこともあります。

これにより、わけの分からなかった連符が、なじみのあることばに変わります。

 

また、左手伴奏が3連符の分散和音で、右手が8分音符2つを弾く時には、

「なし・りんご」などのことばを各音符に書き、それを手を打ちながら声に出させます。

こうすれば2つの速さの違いに気づけるからです。

続いてそこの箇所を、やはり片手ずつ「なし・りんご」と言いながら交互に何度か弾かせて、

突然両手で弾かせてみるのです。この練習効果は絶大!

 

要は記号だった音符から、

使い慣れた「イメージのあることば」として感じられるようにすれば

1拍の2分割や3分割だけでなく、5連符7連符でも簡単に弾けるようになります。

「この連符はどんな速さで弾けばいいのか」などと考えることもなく、

すんなりと1拍の中に納まってしまうのです。

 

このように「音楽はことば」。

楽譜には音のことばでつづった、お話が書いてあるのです。

今回のタイトルにある「音楽とはひとつの言語なのだ」は、

『弟子から見たショパン』の本の中で弟子が代弁したことばであり、

ショパンが常にその考えでレッスンしていたことが書かれています。

 

この練習法はまた、ショパンの幻想即興曲冒頭のレッスンでも私は使います。

その歌詞は次のとおり。

左右ともに一息(ワンフレーズ)で歌わせてから練習させます。

ぜひお試しあれ。成功間違いなしです。

 

右手4音×4: ンとても 食べたい  いますぐ 食べたい |

左手6音×2: イ チ ゴ ミ ル ク  イ チ ゴ ミ ル ク

 

もしかすると「今すぐ食べたい」に向かう気持ちがリアルに反映して、

自然なcresc.がついているかもしれません()

でも曲の表情は、「色気より食い気」になってしまうかもですが。()

 

このように、単に記号でしかないドレミを言葉に置き換えれば、

意味のない音符から、意味を持った具体的なことばに変わるのてす。

 

それだけではありません。

もしメトロノームに合わせてお話をしようとすれば、

きっと白けてしまって話せなくなるでしょうし、

聴かされるほうも、話に惹き込まれることはないでしょう。

メトロノームに合わせて練習することが、いかに音楽をつまらなくしてしまうか。

このことは、よく知っておいて下さい。

でもメトロノームは、使い方次第で役に立てることはできるのです。

 

ついでにもう一つ。楽譜をドレミで歌えば、

何と!メトロノームに合わせた時と同じように、無表情になってしまうのです!!

(この結果を「発見」して気づいたことは、 

日本のソルフェージュ教育の恐ろしさです。 

日本人に無味乾燥な演奏が多いのは、 

もしかして、このソルフェージュ教育に原因の一つがあるのではないかと。 

これは、ソルフェージュ教育をされている方々に、 

ぜひご研究していただきたいものと、つくづく思いました。) 

 

ことばは母親の胎内にいた時から(胎生6か月以降)、ずっと聞き続け、

日常話し続けて使い慣れた、自分の身体の一部のようなもの。

わけのわからないただの記号に過ぎないドレミとはまったく違って、

「ことば」には、イメージを伴った「実感」がある。

心の中の記憶に刻まれた、「リアルさ」があるのです。

 

ショパンの「音楽とはひとつのことばなのだ」は、

このことを裏付けしているように思われます。

音楽はことばから生まれたのだから、ことばに戻してあげればいい。

ただそれだけのことなのです。

 

しかもその上、次のようなとても大きな教育効果までが、自動的・・・についてくるのです。

 

 

☆どの音も聴き取りながら、ていねいに弾くように変わる

 

次回は、まずこの内容をより詳しくお伝えし、 

このような指導法や学習法を、ある曲集をテキストにして、

現在私が明年の出版をめざし執筆中であること。

 

そしてもう一つ。

なぜ私が、他ではあまり見られない指導法を生み出せ、

さらに「指歩きピアノ奏法®」を見つけられたのか。

それらのルーツが、図らずもごく最近、ある本を読んで判明したこと。

これらのお話をお伝えします。

 

わが恩師の師が師事されていたのは、当時(1930年代)日本におられたのが奇跡的なほどの、

超大物で世界的な大ピアニストであった!!

それだけでなく、

ヨーロッパでも最先端だった「重力奏法」を、日本で初めて教えた方だった!!

 

という、私にとって驚くべき事実を、その本で見つけたのです!!

最近ようやくその名が知られてきた「「重力奏法」が、

何と!90年もの昔に日本に伝えられ、少しは広まっていたのですから!

それがなぜ名前も知られないまま陰に隠れ、忘れられていったのでしょうか。

その経緯もお話します。

 

 

このシリーズは、11回にわたり以下の内容を書いていきます。

必見!! どうぞお楽しみに!

 

テーマ

曲に歌詞をつけて歌えば、語るような生きた演奏へと即座に変身!! 

1回 「音楽とはひとつの言語なのだ」 『弟子から見たショパン』より 

音符がことばに変われば演奏に生命が吹き込まれる

2回 続・「音楽とはひとつの言語なのだ」 『弟子から見たショパン』より 

どの音も聴き取りながらていねいに弾けるよう、自然に変われる

3回 トンプソン現代ピアノ教本から「はさみとぎ」のレッスンを事例にして

「歌詞の音楽的要素」について

4回 続・トンプソン現代ピアノ教本から「はさみとぎ」のレッスンを事例にして

トンプソンのすばらしい音楽的なねらい

5回 重要!!演奏に反映されてしまう「西洋音楽と言語文化」

音楽にもある起承転結

6回 原詩(英語)と和訳の歌詞から音楽表現について考えてみましょう

訳詞の問題点:歌って楽しくなるリズムのある歌詞なのか

7回 続・原詩(英語)と和訳の歌詞から音楽表現について考えてみましょう

小節線直前の前置詞・冠詞などの弾き方で、音楽に躍動感が生まれる

8回 ヨーロッパ言語と日本語の違いが音楽に及ぼす影響

「音楽の言語」はいったいどこの国のことば?

9回 強弱アクセントのヨーロッパ言語と高低アクセントの日本語の違いが演奏に与え

る決定的な違い。および冠詞などが演奏表現に勢いを生み出すことについて。

10回 名曲で歌詞を歌い情景を思い浮かべながら音楽的に弾く楽しさを 

        モーツアルトソナタk331のテーマ 

第11回 名曲で歌詞を歌い情景を思い浮かべながら音楽的に弾く楽しさを   

        ショパンのノクターンop9-2のテーマ 

 

 

 

このような指導法や演奏法にご興味のあるピアノ指導者・ピアニストの方は、まずは無料体験会へ。

もし、行き詰まりを感じていたり、このままで良いのかと思っておられるようでしたら、この体験会できっとその解決の糸口を見いだせることでしょう。

 

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