ピアノレッスンクリニック芦屋の考え
ピアノレッスンクリニック芦屋の考え
芦屋のピアノ教室「ピアノレッスンクリニック芦屋」のホームページをご覧いただきありがとうございます。
「ピアノレッスンクリニック芦屋」は、長年積み重ねた研究によって得られた、確かな理論「運動力学」の視点から、「思い通りにピアノが弾けない」と悩まれている方々のお悩みの原因を診断し、その多くをほぼ瞬時に解消することができます。
つまり、長年の病に苦しむ患者を救う名医のように、ピアニストやピアノ指導者のお悩みを解消するというコンセプトのもと、「クリニック」という言葉を教室名に掲げました。
長年のレッスンで、生徒の手の動きを常に見つめてきた経験から、不合理な動きはすぐに「変だ」と感じるだけでなく、その原因まで即座に見えてしまうのです。
「運動力学」という合理的視点から得られる判断力と指導力によって、より少ない練習量でもより楽に、また無理なくより速く弾けるようになります。
また合理的な指導の当然の結果として、より速くも習得できるため、常に学習者に寄り添った指導法を工夫し続けています。
長年大学でピアノを教えながら、奏法と指導法を研究し続けてきた中で見つけたこの理論をまとめた論文は、学会誌にも選抜掲載され、当時の会長から絶賛されました。
この論文で発表した論理性と独創性を併せ持った「指歩きピアノ奏法®」により、誰でも確実に「美しい音色」で楽に弾ける、合理的指導法でお教えしています。
今注目されている欧米で主流の奏法「ロシアピアニズム」(2019年大野眞嗣著)は、実は私の「指歩きピアノ奏法®」と同じものだと、この本を読んでみて判明しました。
この著書の中に「ロシアピアニズムの奏法では、人が歩くとき・・片足ずつ重みを地面にかけるような感覚」(p103)とあります。
(ピアニストの青柳いづみこ氏も「ピアノを教えるということは、歩き方を教えるようなものだ」と『ピアニストは手で考える』(2006年)の本で書かれています。)
この他にも見つかった「ロシアピアニズム」と「指歩きピアノ奏法®」との多くの共通点は19点に及び、「ロシアピアニズム」に掲載していますので、ご興味のある方はご一読ください。
残念ながらこの本には、最も知りたい基本的な学習方法などが書かれていませんが、DVD「田島孝一の『指歩きピアノ奏法』のすすめ」では、ていねいにその学び方を映像でお見せしていますので、最も大事な「手の重さを使う方法」と「指で歩く方法」を、初めてピアノを学ぶ方でもわかりやすい説明と共に、基礎から学ぶ事ができます。
分かりやすく学べる「指歩きピアノ奏法®」で「ロシアピアニズム」を合理的に学ぶことにより、驚くほど短期間で、むだな力を使わない弾きやすさと、思い通りに表現できる技術までもがプロ並みの美しい音色と共に、徐々に身につけていくことができます。
この指導法により、無理をして先を急がなくても、少ない練習時間で必然的に習得が速くなり、より高い技術力を豊かな音楽表現力とともに、それらを楽しみながら、楽に身に付けていただくことを可能にしてきました。
このような、学会発表でも評価された「客観性」と「独創性」に加え、作曲家としての「音楽力」までも併せ持った講師が、理論に基づいて指導している教室は、他ではなかなか見つからないのではないでしょうか。
◎「ロシアピアニズム」「ツィーグラー」「指歩きピアノ奏法®」そして「ショパンメトード」との関係
さてここからは、「ピアノレッスンクリニック芦屋」の講師である私・田島が、学生時代から約10年間教わった「ロシアピアニズム」と「ツィーグラー~耳から学ぶピアノ教本」、私の「指歩きピアノ奏法®」、それと「ショパンメトード」の関係についてご紹介していきます。
(注:「ロシアピアニズム」とは、19世紀末から現代に至るまで、欧米で主流となっている「重力奏法」の一つです。
ところが日本人のプロピアニストを含めたおよそ8割以上の方々は、100年以上前の古い「ハイフィンガー奏法」で教わっており、今なおそれで教え、また教わっている状況が根強く残っています。)
「ロシアピアニズム」は「美しい音色」を出すことから学習が始まりますが、
これは戦前に中国・大連で生まれた私の恩師が、
ロシア革命で亡命中のロシア人プロフェッサーに7歳から手ほどきを受けられた奏法と、当然のことですが、基本的にほぼ同じ奏法です。
恩師からは常に、「美しい音色」で弾く事、タッチの事、そして「歌うように弾く」事を大事にするよう教わりました。
また、同じく美しい音色を奏でることから始まる
『ツィーグラー~耳から学ぶピアノ教本』(音楽之友社)にもある、
美しい「理想音」についても、出版直後に、恩師からその記述を一部教わってはいました。
しかし「ツィーグラー」に書かれている説明は、イメージによる記述が多いため、
私は長年のあいだ謎のようで、ほとんど理解できないまま放置していました。
1972年、ロシアの名ピアニスト、エミール・ギレリスの老練な美しい音色にホールで魅了され、何としてもあの音を出したいと研究が始まり、10年後、やっとその出し方を見つけました。
(このギレリスを育てたのが、後のショパンメトードの説明に出てくる名教師ネイガウスです。)
これは「指で歩く」とわかった今でこそそう言えるのですが、基本的に手や腕の「重さ」を1本指で支えます(この点で重力奏法だと言えます)。指の腹を鍵盤上に載せて指の付け根の第3関節で腕の重さを「支え」、次に弾く準備のために、その指の力で重さ・重心を持ち上げ、重心を鍵盤上でわずかに左または右へ「移動」させ、次の指の関節で同様に「支える」ことにより次の音を奏でる方法です。
まさに歩行している時とほとんど同じ感覚なのです。
芦屋でレッスンを行っている私は、
この指の動きを分かりやすいよう、「歩く時の足のイメージ」に置き換えて、
「指歩きピアノ奏法®」(1991/”Fingerwalking Piano-Method")と命名し、まず勤務大学内で発表しました。
後年日本でやっと知られ始めた「重力奏法」の名と、その内容が徐々にわかるにつれて、
なんと私の「指歩きピアノ奏法®」は、「重力奏法」と共通したほぼ同じものだと判明したのです。それが今年(2019)の「ロシアピアニズム」の発刊により、明確に確定されたのです。
ロシアピアニズムで教わられた恩師の教えが私のベースにあるので、それは当然だといえるでしょう。しかし、「指歩きピアノ奏法®」発見に至るまで、教わった指の動きがまだ不十分にしかできていなかったのと、理論的に説明できるには至っていなかったのです。
さらに、この①「重さ」②「支え」③「移動」の3つの要素は、
発表のあと、あの『ツィーグラー』の序文を読み返してみると、
何と!それとなくそこに書かれていたのです。
それと同時に、ツィーグラーの、あの不可解な<イメージによる説明の謎>が、一気に解けたのです。
「ピアノレッスンクリニック芦屋」では、
「ロシアピアニズム」を、その基礎から分かりやすく学べる「指歩きピアノ奏法®」により、
初めてピアノを弾く人でも即座に「美しい音色」が奏でられる練習方法で、
(DVDの中でピアノ未経験者のナビゲーターが、いきなり美しい一音を奏でました。)
曲を美しく奏でることができるレッスンを行っています。
これもまた、日本国内ではなかなか出会えないでしょう。
ほぼすべてのスポーツの動きは、前掲した①「重さ」②「支え」③「移動」の3つの要素をコントロールしながら行われます。
後で取り上げるショパンが書いたテキストにも、「手がうまく使えてしかも美しいフォームになる」とありますが、この3つがバランスよく合理的に使われた時には、その動きは「美しいフォーム」となって現れるだけでなく、動きそのものがしやすくなります。
そのため、指の動きを「歩くように使って弾く」この「指歩きピアノ奏法®」も同様に、「歩く」というごく日常的な動きは、「普遍的・絶対的運動の原理」にかなっていると言えます。
たとえばテニスのコーチの教えどおりのフォームになるよう、同じ動きができれば、
ボールは見事に飛んでいくのと同様の原理なのです。
「手の使い方」がわかれば、出来なかった箇所が、突然楽々と弾けるように変わるのは、当然だといえるでしょう。
ブログの「Tさんへの指導シリーズ」でご紹介した、ピアノ学習を始めて体験された壮年のTさん。今では、バッハの平均律1番前奏曲を基礎練習の一つとして練習されており、わずか1年未満で今やプロをもしのぐかと思えるほどの、美しい響きで弾かれています。
信じがたいかもしれませんが、これが合理的指導法の結果なのです。
手や指の「重さ」が次々と鍵盤上を走って「移動」していく速いパッセージでも、
「重さ」と関節による柔らかなその「支え」を準備さえしておけば、地面を広げた傘を転がすように、驚くほどの速さで楽々と弾くことができます。
(これをわかりやすいように、私は「傘転がし奏法™」と名付けて、その手の使い方を教えています。)
歩く動作とは、片足が地上に残っている間にもう一方の足が接地します。
鍵盤上でこれを「指歩き」で行えば、完全なレガート奏法になります。
子どもに「レガートで」と言っても分かりづらい時、「指歩きしてみよう」と言った方がイメージがつかめるでしょう。
そうすれば最初歩段階で学ぶべき重要なレガート奏法を、容易にマスターすることができます。
なぜ初歩段階でレガートが重視されるのか、考えてみられたことはありますでしょうか?
この「指歩き」にその答えがあります。
歩行では両足が地面から一度に離れることはありません。
そのことで上体は常に安定しています。
「指歩き」で鍵盤上を歩いても、同じく手の安定性が保たれているのです。
指先が鍵盤上からすべて離れると、次の鍵盤へどれだけ移動すればいいか、それを判断する基準が失われてしまい、ミスをおこしやすくなってしまいます。
このようにレガートが初歩段階で重視されるのには、とても重要な意味があるのです。
これに加えてdolceで弾けば、(ここでハイフィンガーの練習時のように、マルカートで鍵盤上で垂直方向に強い力を加える事がなければ、)
安定した指の動きにより、落ち着いてさまざまな事を判断しながら弾くことができ、
同時に自然な重心移動も、また美しい音色も、まったく無理なくできてしまいます。
最近出版された『弟子から見たショパン』によると、ショパンは基本的に、終始レガート主義であったそうですが、その理由は、もしかしてこの安定した効果をねらっていたのではないかと思われてなりません。
この本を読んで大変驚いた事に、書かれていたノクターンop9-2のショパンが左手パートを、バスと和音部分を左右両手に分けて練習させていたレッスン法は、私のレッスン法と全く同じだったのです。
(この事実については、プロフェッショナルコース第1期の指導内容を連載でご紹介したブログの第1回目「はじめに」の中で、ショパンがなぜそのレッスン法を必要としたか。本には書かれていないその理由を、詳しくわかりやすく解説しております。)
その他にも、レッスンで私が重視してきた考え方と、ショパンの考え方にも、非常によく似た共通点があることも、この本で知ることができました。
つまり「指歩きピアノ奏法®️」は、ショパンと同じく、完全なレガート奏法を主にしているという、根本的な共通点があったのです。
その他の主な共通点は、①美しい音色を大切にすること ②科学的に手の動きを考えること ③「ピアノで歌う」ために声楽を学び、また「朗読」するように弾くことです。
私も呼吸法と発声法を学ぶ事を勧め、は朗読そのものを練習して演技力を養う事を勧めています。
このように、その本に書かれているショパンの指導法については、私との共通点が多く、また改めて解説しながらご紹介する予定です。
人は歩く時、足裏に地面の凹凸や土の柔らかさの違いまで感じ取り、それに対応しながら歩きます。
それと同じように、鍵盤への「接地」による指先の感触の違いを皮膚感覚で感じることによって、千変万化に音色の変化をつけることも簡単にできるようになり、プロ並みの演奏へと短期間で近づくことができるのです。これも「指歩きピアノ奏法®」の大事な特徴なのです。
ショパンも同書で、聴覚と触覚を大事にするようにと言っていますが、私もその2つに加え、視覚により手の動きをよく観察する必要性を訴えております。
この「指歩きピアノ奏法®」をマスターできれば、音色を聞き分けながら、表現への対応が自在にできるようになります。
「ピアノレッスンクリニック芦屋」では、
上級(中級)者からピアノの先生、プロピアニストの方まで、
一人ひとりのレベルとペースに合わせたレッスンを行っています。